祖母が学園長を勤めるこの学園で、理事長が二人存在するということは、学園関係者すべてを含めても、片手で足りてしまうほどの人にしか知られていない。
十歳の頃両親に死なれてからというものの、姉の千春と共に上手く世を渡り歩いてきたつもりだ。
人より目立って上には出ず、かといって下に埋もれてしまうわけでもない。
上過ぎても下過ぎても、人の話題に触れてしまうものなのだ。
あれから七年。
卒業へも半分を残すのみとなり、平凡にこのまま残りの時間がゆっくりと流れていく。
そう思っていたはずだった。
俺と千春以外には誰の気配もない理事長室で、明日の会議用の資料とコメントに最後の確認を入れる。
千春はソファにもたれかかり、呑気に爪の手入れなどをしていた。
「あ、そうだ。おばあちゃんからこれ預かってきたんだ」
目の前に差し出されたのは、ファイリングされた履歴書のコピー。
牧嶋杏子 ──二十九歳、国語担当教員。
少し強張った面立ちで写るその顔写真を見つめ、俺はふと首をかしげる。
この顔……どこかで……。
記憶を手繰り寄せてみるものの、まるで靄がかかったようで上手く思い出せそうになかった。
だが、確かに見覚えがあるんだ。
この顔は。
千春と二人で暮らしている家に戻ってもなお、俺はあの履歴書に添えてあった写真のことが気になって仕方がなかった。
千春が何度も俺を呼んでいるのも分かっていたが、意識がそっちに向かない。
つい気になって、あの書類を持ち帰ってきてしまったくらいだ。
声を無視して、俺は再びファイルを開いた。
――何度見ても、見覚えがある。
だが、思い出せない。
こういった類の、『ここまで出掛かっている』という状態は、かなり嫌な気分になるものだ。
あまりにも真剣にそれを見すぎている俺にしびれを切らしたのか、千春はベッドで横になっている俺の身体に馬乗りになってくる。
「そんなに好みのタイプだったわけ? その女が」
ムッとした面持ちで俺を睨みつけると、そのまま噛み付くように口唇が重なった。
血の繋がった……しかも双子の姉としていいものだなんて思ってはいないが、こんな関係にもいい加減慣れてしまった。
スルスルと服を脱いでいく千春の身体には、まぎれもなく俺と同じ血が流れている。
死んだ両親がこんな光景を見たら、さぞかし嘆くだろう。
next......(1)

ちょうど一年程前になるでしょうか。
ゲームの企画用にと考え出したお話でしたが、うちのサイトのみでの展開となりそうです。
おおまかなストーリーはすでに決まってはおりますが、
細かい設定や話の内容は、まだ思案中の段階です。
第一章は尋貴の視点でお届けいたしますが、基本的にはパラレル視点の作品になります。
色んな意味で謎かけが多い作品になりますが、楽しんでいただけたら…そう思います。
「Cruel Games」とは、「残酷なゲーム」という意味合い。
「Heart of mine」の歌詞に出てくる一説を用いております。
誰から見て、残酷なゲームになるのか。今後の展開をお待ちください。
こちらもまた、相当ヘビーな内容になりそうですが、お付き合いいただけると幸いです。
――予告としてですが…百合・レイプもありになりますので…近親相姦はすでに出てますね(^^;
それでは、今回もここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
2004/3/4
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