*:*:: 『シャルルに捧げる夜想曲(1)』 ::*:*

まんが家マリナシリーズの分岐シリーズ作品。(パリ編)

十六歳になっても髭の一本すら生えてこないほど、女の子のような容貌をした、主人公のアンドリュー・ドゥ・アルディ。
そんな彼の友人は、母方の実家の伝統を受け継ぎ、胸に大きな赤い刺青を持つ、マジャール人のカレル・サヴァだ。
ある日、アルディ家の華麗の館から三宇宙四聖霊の聖宝の一つ、「グノームの聖剣」が盗まれてしまう。
そこに、消えた聖宝を取り戻すため、アンドリューの甥である天才、シャルル・ドゥ・アルディ(18)が邸に戻ってきた。
アルディ家の当主に再び返り咲くためにも、なんとしても聖剣を手に入れなければならないシャルルは、アルディ家とは長年に渡り対立をしている、ドイツの名門ミカエリス家現当主でもあり、秘密結社「銀のバラ騎士団」の総帥である、聖樹・レオンハルト・ローゼンハイム・ミカエリス・鈴影が、聖剣を持っているということに気付く。
彼の行方を追い、辿り着いた先は、プラハ。
そのプラハで、シャルル、アンドリュー、カレルたちを待ち受けていたものは……?


……非常〜に説明のし難いお話です(^^;
というのもこのお話は、マリナ新シリーズの話であると共に、銀バラシリーズの続編でもあるので、両方……または、どちらか片方の状況を、ある程度踏まえていないと、少し分かり難いシーンがあるかもしれません。
イラストは、高河ゆん先生。
既マリナシリーズでは、谷口亜夢先生、既銀バラシリーズでは、しもがやぴくす先生・みらい戻先生でしたが、両シリーズとは全く関係のない新しい方での話となっています。

私が初めてシャルルを知ったのがこの話だったため、彼は凄くシビアで冷たい……でも、叔父思いというイメージが強いです。
とにかく人間関係が入り乱れていて、叔父と甥なのに年が逆転していたり、対立している家柄なのに実は兄弟だったり、はたまた、部下による裏切り行為もあったり……。
ハラハラしながら、一気に読み終えることは間違いないです。

シャルルVSレオンハルト。
そりゃあ私は銀バラ好きなので、鈴影さん派なのですがね…(^^;
アンドリューは好きですが、カレルは苦手なタイプです。
なんでだろう。
正しいことを言っているとは思うんだけれど、アンドリューに対する思いが、私には受け付けないのかもしれません。
正直、ひとみ先生にボーイズラブ要素は一切求めてないので(^^;
でも、ラ・ルリジオンは良かった……(シリーズ違いですよ、自分!)

*:*:: 『シャルルに捧げる夜想曲(2)』 ::*:*

三ヶ月連続刊行シリーズの第二作目。

タベルナーケル(聖櫃)の中に入ってしまったグノームの聖剣。
レオンハルトと騎士達が地図を手に話していると、レオンハルトが突如撃たれて倒れてしまう。
その現場を隠れて見ていたシャルルとアンドリューだったが、慌てて彼を助けることになる。
彼を助けなければ、聖剣を取り出す方法がわからないからだ。
大統領を脅すまでのことをし、官邸内に手術室を用意させ、レオンの処置に当たるシャルル。
そして彼は、アンドリューに思いもよらぬ事実を告げることとなる。
「レオンハルトは、お前の兄だ」、と。
その事実に戸惑うアンドリューだったが、傷ついた兄であるレオンハルトの傍につき懸命に看病する。
それが、シャルルの計算ずくの行動だとも知らず。
一方、レオンハルトを撃ったのはシャルル達だと豪語する騎士団の騎士たち。
自分たちにかぶさられた汚名を晴らすべくアンドリューは、なにがあってもレオンハルトを助けるようにとシャルルに頼み込んだ。
アンドリューはシャルルの思惑通り、レオンハルトたちが見ていた地図……見取り図を手に入れ、シャルルに手渡す。
見取り図を手に入れたシャルルは、プラハ城修復事業局主催のパーティーに出向き、その場で、彼女の所有するプラハ城及び周辺の土地と建物を買い取ることと引き換えに、カレルと惹かれ合っているクリームヒルトと結婚をすることを誓った。
シャルルの不可解な行動の真意を知るため、アンドリューは回復に向っているレオンを訪れる。
話し合う二人の元に訪れたのは、騎士団の騎士たち。
レオンハルトを騎士団の支部の方に移転させるために来たのだという。
しかし、その行動を止めさせようとシャルルがやってきた。
彼の口から知らされる、衝撃の事実とは……!?


スリリングなストーリー展開に、息を飲む第二巻です。
シャルルは相変わらず素晴らしい頭脳と能力を見せてくれますし、鈴影さんも、素敵っ。
私はまだ、マリナシリーズを途中までしか読んでいないので、マリナをめぐるシャルルと和矢の関係などが良く把握し切れていないのですよ。
でも、どうやら、シャルルはマリナを手放したのかな……?
クリームヒルトに対しなんの感情もないまま、甘い恋愛とすばらしい結婚を経験させることを約束し、公衆の面前で口付けを交わす。
鈴影さんもそうだったけれど、目的のためならば手段を選ばないタイプなんですよね。
自分を犠牲にしてもなにも厭わないタイプなんだな、シャルルも……と再実感しました。
そして、鈴影さんの命を狙った相手にも大注目の巻だったりします!

*:*:: 『シャルルに捧げる夜想曲(3)』 ::*:*

三ヶ月連続刊行シリーズの第三作目。

アンドリューを庇い、頭に銃弾を撃ちこまれてしまったシャルル。
彼を助けるためには、ウィーン大学のザイラー博士にオペを頼むのが最良だという。
だが、ザイラーは非常に偏屈な人間で、さらに彼のオペを受けたいという患者は、千人以上もいるという。
カレルの養父でプラハ大学の教授のコネを使っても、ザイラーの手術は受けられない。
途方に暮れるアンドリューに、レオンハルトは謝罪の言葉を述べる。
シャルルを撃ったのは自分の部下。
自らの部下を管理し切れなかった責任なのだ、と。
出来る限りのことをし、シャルルを助けると誓うレオンハルトだった。
一方シャルルと婚約をしたクリームヒルトだったが、カレルにそれを阻止して欲しいと願っていた。
しかしカレルは、自らの胸に刻まれた刺青のことを思うと、それをしたくても出来ない状況にある。
気持ちと裏腹に、クリームヒルトを追いやる言葉を口にするカレル。
胸を焦がす熱情と絶望に打ちひしがれたカレルは、アンドリューに縋りついてしまった。
自分の思いを一身に受け止めてくれる友を、恋人として愛する事に置き換える。
身体を重ねてしまうカレルとアンドリューの前に、レオンハルトが現れる。
自分の弟が、キリストが禁じる同性愛の道に引きずり込まれたという事実への憎しみと怒り。
カレルを殴り、そして、アンドリューと二度と関わるな、愛するなと命じる。
そんな中、驚くべきことにシャルルの手術を担当するべく、ザイラーが姿を現す。
回復したシャルルだったが、一方でこのザイラーを呼んだ代償として、レオンハルトの命が奪われようとしているのだった。


一巻では鈴影さんが撃たれ、二巻ではシャルルが撃たれ……orz
どちらかが毎回犠牲になっている、このシリーズです(^^;
しかしまぁ、三巻はとくに修羅場ですねー。
そういえば、高校時代にBL系小説に出会ったけれど、今思えば、これがそう言うシーンの最初のモノだったかも(笑)
でも、はっきり言って、当初は激しくゲンナリしていたという記憶があります、はい。
今は別にどうってことはないですけれどね。

このシリーズでどうしても納得がいかないこと!
それは、カレルの刺青に関してで、「誰にも言ってはいけない」という赤いモルダウ。
ってことは、結婚もするなってこと?
でもそれじゃ、カレルの血を受け継ぐ子供が生まれてこないわけで、一族の血が途絶えるでしょ?
第一、愛し合っているんであれば、言っても差し支えないと思うんですよね。
うーーん、どうなんだろうか……。
なんでもいいけれど、シャルルを助けるために鈴影さんの命が奪われるなんて、理不尽すぎですっ!
第一、日本ではユメミたちが待ってるでしょ!?
うわーーんっ。
そして、「赤いモルダウ」の意味を教えて下さいーーー。
それだけが、このシリーズに望むすべてのことです。
はぁ……マリナシリーズの最終巻から二年開けて出た、このパリ編。
三ヶ月連続で発行したのはいいけれど、その後、続編シリーズ「シャルルの愛する葬送曲」と、タイトルまで決まっているのに、シリーズ中断から丸十年……。
これ、ホントにどうなるんだろう。
シャルルが生きているということは、「鑑定医シリーズ」があるから分かるけれど、鈴影さんはイッタイ、どうなってるのよう〜〜っ(号泣)
この十年の間に、絶対にひとみ先生ファンでモルダウの謎が気になりつつも亡くなっていった人っていそうだ。
私、それだけは絶対嫌です。
この「モルダウ」の謎と、テーヌ・フォレーヌの続きを見るまではーーっ!